T邸改造
築50年以上の建物で基礎コンクリートが無筋なうえ、西側は崖地である。
大きな地震には耐えられないと建て替えを勧めたが、生まれ育った家が無くなるのは忍びないということで耐震補強して改装することにした。
施主の亡き父が医院を開いていた診察室、応接室、和室をひとつながりの大きな部屋とし、茶の間だったところには囲炉裏テーブルを設けた。
耐震補強としては、まず無筋の基礎に耐圧盤を打ち、屋根の瓦を鉄板にして全体を軽くすることから始め、半割合せ柱(半割りにした木材を背中合わせにしてプレス加工したものである)を既存の軸組みの内側に何本かずつまとめて配置して、面で支えるようにした。
2階はそのまま残したいという希望だったので、2階は全く触らず、そのかわり1階がしっかり支える構造にした。
内装には柿渋紙、珪藻土、むく板を使用したため、落ち着いた雰囲気を出せたと思っている。小コンサートを催したり、友人を食事に招いたりして楽しく使っておられる。


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